壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

十二国記 図南の翼 小野不由美

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十二歳の少女珠晶が昇山して、危険な黄海を越えて供王になるまでが描かれます。頭の回転がはやく正義感を持ち、実行力のある珠晶ですが、気が強くて無謀な行動が目立つ女の子です。自分の才覚だけで黄海を越えるつもりだった彼女も過酷な状況でサバイバルを経験して、物事を深く考えること、信頼すべき人間を見極めることなどを学んでいきます。

この作品は五作目ですがマンネリに陥ることなく、旅と冒険という面白い展開です。景王陽子が異世界に転移して王となるという物語はナルニア風でしたが、今度はいろいろな人物たちと目的に向かって長いたびを続ける「指輪物語」風になっています。

前作までに登場した人物を見つける楽しみもあります。この少女は、前作「風の万里 黎明の空」で祥瓊に厳しく接した恭国の女王です。90年たってもあの性格はもとのままですね。また、「東の海神 西の滄海」でのあの更夜が、すっかり変わっていてびっくりしました。

十二国記はあと二作品を残すのみ。もったいないのでチビチビ読んでます。