壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

この本を盗む者は  深緑野分

この本を盗む者は  深緑野分

角川文庫   図書館電子書籍

出来たばかりの電子図書館で見つけて慌てて借りた本。『ベルリンは晴れているか』とは、作風が全く違うので読み始めは戸惑った。二十万冊を超える個人図書館を所有する一族に生まれたゆえに、本が嫌いな女の子深冬が、本の呪いを解くために冒険に出かけるというファンタジーだった。

映像的な要素が強くて、ジブリのアニメーションを見ているような気がしたが、年寄りのせいか、目まぐるしく変わる風景にちょっとついていけない。深冬の住む本の街〈読長町〉は、作中作の盗まれた本に呑み込まれて、そのたびに姿を変えている。マジックレアリズム、ハードボイルド、スチームパンク・・・ この目次を見てなるほどと思う。

第一話 魔術的現実主義の旗に追われる

第二話 固ゆで卵に閉じ込められる

第三話 幻想と蒸気の靄に包まれる

第四話 寂しい町に取り残される

第五話 真実を知る羽目になる

本の呪いとは何なのか、深冬の住む世界の仕組みが最後に明かされる。疑問な点が残るのだが、それゆえか、深冬は本に向き合うようになる。深冬も本の呪いにかかってしまったのだろう。

深冬は深緑さんの分身で、深緑さんは本の呪いで本を書き続ける。この本を読んだ読者もまた、呪われて本を読み続ける。