壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ベルリンは晴れているか  深緑野分

ベルリンは晴れているか  深緑野分

ちくま文庫  電子書籍

4国分割統治下のベルリン。ドイツ人の娘17歳のアウグステは、米軍憲兵に突然連行され、ソ連管轄下の警察に連れていかれた。遺体検分させられたのは、アウグステの恩人ともいえる男性だった。歯磨き粉に混入していた青酸による死の真相が明らかになるまでの数日間、アウグステは案内人のカフカと共に、混乱と荒廃の街を歩き回る。並行して、アウグステの生い立ちが語られ、戦前戦中のベルリンの様子もよくわかるように描かれている。

ミステリ部分は物語を牽引する力ではあるけれど主眼ではないだろう。爆撃によって破壊され、瓦礫と化した街、ナチスによって迫害され傷ついた人々、ごく普通の市民が戦争に巻き込まれる悲惨さを描く事こそ本筋なのだと思わせる。荒廃した街、人々の暮らしの様子が圧倒的な解像度で描かれていて、映像に迫るほどだ。

1945年のベルリンの物語はいくつか読んできたが、読み足りたという事は無い。戦争の悲惨さは、あらゆる角度から何度も語り直す必要があるに違いない。

 

ナチス・ドイツに併合されていたオーストリアの首都ウィーンもまた4国分割統治下にあった。それで思い出したのが映画『第三の男』で、アマプラにあったので視聴した。瓦礫と帝政時代の豪華な建物が混在していて、面白かった。ついでにグレアム・グリーンを思いだして、何を読もうか。