壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

濃霧は危険  クリスチアナ・ブランド

濃霧は危険  クリスチアナ・ブランド

宮脇裕子訳 国書刊行会 奇想天外の本棚  図書館本

クリスチアナ・ブランドという英国のミステリ作家の名前は知っているが、読んだ覚えがない。もう忘れているのかもしれない。本書は移動図書館の児童書コーナーで見つけた本で、原作は1949年だが、最近翻訳されていた。ジュブナイルの冒険小説だが、大人も楽しめる。

大金持ちの坊ちゃんとして育ったビルは、両親が留守の間、会ったこともない名付け親の家に預けられることになった。ビルはもう15歳だから、同年代の女の子がいる家なんかに行きたくなかったのだ。シルバーのロールスロイスに乗せられたが、途中でお抱え運転手にダートムーアの暗闇のど真ん中に放り出されてしまった。荒野を彷徨う内にパッチという同年代の少年と出会い、図らずも二人の大冒険が始まる。ダートムーアといえば、バスカヴィル家の犬がいるところだよ~。

出てくる大人たちは怪しい奴ばかりで、よからぬことを企んでいる。少年二人は次々に起こる出来事から命からがら逃げだし、ほっとしたのもつかの間、また悪い奴らに殺されそうになる。ビルは温室育ちだが、家庭教師に仕込まれて知識はすごく豊富だ。パッチは世間慣れして行動力がある。持てる限りの知恵と体力を振り絞って悪人たちに立ち向かう、手に汗握る冒険活劇だ。最後の最後に明かされる秘密に驚いた。予想が見事に外れたけど、楽しかった!

クリスチアナ・ブランドの著作を調べてみたが、やはり読んだことがなかった。コックリル警部シリーズの一冊を図書館で見かけたことはある。『領主館の花嫁』が比較的最近に出ている。ゴシック小説らしい、面白そう、読みたい。

本書の「奇想天外の本棚」というシリーズも面白そう。ジャンルを問わず奇想天外な話が集められているそうで、どれを読もうか目移りする。

読みたい本がどんどん増えて、Kindleのサンプル本が溜まっていく。