脳はなにを見ているのか 藤田 一郎
15年ほど前に書かれた本だがわかりやすい(六割引きで安かった)。目で見たものが脳で処理されて、初めて「見えた」と知覚する。カメラに写し取られた映像とは異なり、私たちが「見ている」映像には虚構がまぎれこんでいる。網膜に映っているものと、私たちが「見ている」ものは同じではない。そういうことが、興味深い錯視という現象を通して興味深く解説されている。また、脳に損傷を受けた場合に起きるさまざまな失認などから、大脳皮質の視覚野における機能が説明される。そして、平面的な網膜像から脳はどのように立体を認識していくのか、知覚にかかわる脳の具体的な場所や特定の神経細胞(ニューロン)を探す研究が紹介されている。しかし、物質の動きやニューロンの活動によって、知覚(心の働き)をすべて説明できるわけではない。
有名な錯視である「蛇の回転」(北岡明佳作)が表紙になっている。Kindle端末のモノクロ画像では全く動かない。歳をとると蛇の動きを認識できない人が多くなるという記述があったのでがっかりしたが、「北岡明佳の錯視のページ」を見ると、ウネウネ動くのが見えて、よかった! 一見の価値あり
さらに、北岡氏の錯視の本が読み放題にあった。うれしい!
さらに「深層学習によって「蛇の回転錯視」の知覚再現に成功」というニュースがあった。ほんとう?
15年以上前に『脳と視覚』という本を読んだ事を思い出した。