壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

不死細胞ヒーラ レベッカ・スクルート

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不死細胞ヒーラ レベッカ・スクルート
ヘンリエッタ・ラックスの永遠(とわ)なる人生
中里京子著 講談社 2011年 2800円

『不死細胞ヒーラ』という書名で、一瞬オカルトサイエンスか何かと勘違いしましたが、あのHeLa細胞のことではないですか。60年も前に、ヒトの培養細胞株として初めて樹立されたHeLa細胞は、今でもよく使われている有名な細胞です。HeLaことHenrietta Lacksは1951年に子宮頸癌で亡くなっていますが、HeLa細胞は無限に増殖しています。

HeLaという名前が子宮癌組織を提供した女性の頭文字?だという程度の知識しかなく、どんな女性だったのだろうと読み始めたのですが、タバコ農婦である貧しい黒人女性ヘンリエッタの人生だけでなく、培養細胞の研究にかかわった科学者たちの物語、生命科学の進歩、医療における倫理問題など幅広いテーマを持ったノンフィクションで、勉強になる内容でした。専門的な内容も正確だと思います。

さらに、HeLa細胞がバイオ分野で巨万の利益を生み出しているのに、貧しくて医者にもかかれないヘンリエッタの遺族(特に次女デボラ)たちが、HeLa細胞をどう思っているのかという後半はユニークです。殆ど学校教育を受けていないデボラが、一歳の時に亡くなった母親の姿を求めて、著者の取材旅行に同行するドキュメンタリーのような部分は迫力がありました。



❀❀❀❀❀❀ RETROの庭 ❀❀❀❀❀❀
スローもロハスも縁遠く、雑草との戦いをさっさと諦めてプランター園芸をしている初心者です。たいした手間をかけなくても、季節が来れば咲く花の記録として不定期掲載。
初秋の近況報告
先月末の台風で庭の夏草たちがボロボロになってしまいました。再起不能と判断し、アサガオ棚など、
潔く全部片付けました。今残っているのは、隣地の彼岸花だけ。彼岸の頃になると突然頭を出して咲き誇る花を見ると、やっぱりうれしい。「お久しぶり!」と声をかけたくなります。
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