ラヒリの第二作目は、短編集「停電の夜に」最後の「三度目で最後の大陸」と同じようなテイストをもった長編です。
そんな親子の関係は、急激に変化する社会に住む我々すべてに普遍的なものでしょう。ラヒリさんの描く移民とその二世の親子の物語はそれを鮮明に浮かび上がらせています。
名前って不思議です。仮につけられた名前でもその名で呼ばれるうちに自分自身のものになっていく。ゴーゴリとニキルという二つの名前は、引き裂かれた二つの自分。
ほとんどが現在形の短い文章で、日常の出来事や気持ちがあっさりと語られるだけなのに、なんでこんなに素晴らしい物語が生まれるのか不思議なくらいです。客観的な描写の中に静かさはあっても、冷ややかさはありません。
映画も公開中だとか。万人の胸に染み入る作品だといいですね。