壊れかけたメモリーの外部記憶

読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

オリーヴ・キタリッジの生活 エリザベス・ストラウト

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オリーヴ・キタリッジの生活 エリザベス・ストラウト
小川高義訳 早川書房 2010年 2200円

アメリカ東部の田舎町の市井の人々をめぐる連作短編。13編のすべてに、脇役として、時に主役として登場するのがオリーヴ・キタリッジで、読み進むにつれて、中年から老年までの40年間の彼女の人生が、長編を読んだかのように鮮やかに立ち上がってきます。

普通の人のありきたりな人生の中に起こる様々な出来事が描かれ、不幸はある時滑稽であり、ささやかな幸福は悲しみの始まりであり、人間は結局、孤独なものであるけれども、しかしまた、人生はすてたものでもないとも思えるのです。

オリーヴの強烈な個性に驚きながらも、いつしか彼女に強い共感を覚え、他人様と思えなくなるのは、まさに私がそういう年になったからでしょうね。中高年文学?の傑作。




↓あらすじではありませんが、
『薬局』を営むヘンリー・キタリッジは、デニースを店員として雇った。
『上げ潮』町にいた時にオリーヴの教え子だったケヴィンが帰ってきた。
『ピアノ弾き』のアンジェラには年老いた母親がいる。
『小さな破裂』オリーヴの息子クリストファーの結婚式の出来事。
『飢える』荒物屋のハーモンとデイジーは、ニーナという摂食障害の女の子を世話した。
『別の道』病院で強盗にあって人質になったキタリッジ夫妻の口喧嘩。
『冬のコンサート』ボブとジェーンの夫婦はコンサートでリディアさん夫妻に会った。
『チューリップ』息子がカリフォルニアに引っ越した後に、ヘンリーが倒れた。
『旅のバスケット』未亡人になったボニーに従姉妹のケリーが行った一言。
『瓶の中の船』アニータの長女ジェリーはとうとう母親の元から逃げ出した。
『セキュリティ』再婚した息子を訪ねてニューヨークへいったオリーヴ。
『犯人』小さい頃母親が家出したレベッカが心にかかえているもの。
『川』ヘンリーを失って一年半、図書館の駐車場でジャックを轢きそうになった。