先日、図書館の新刊コーナーにライブラリアンが本を並べているところに初めて遭遇し、いつもは借りられそうもない本を借りてみました。
作家さんの名前は聞いたことがあるけれど、行き当りばったりなので、恐る恐るという感じで読み始めました。今回は幸運なことにシリーズの途中ではありませんでしたが、話が完了していない短編連作でした。
2031年の日本は現代の状況をさらに悪化させたような重苦しい世界で、人口はさらに減少し自殺者はさらに増加している。東京で私立探偵を開業する女性サキは、失踪した姉の捜索を若い女性から依頼された。戸籍は残っているのに周囲はその存在を否定するという不自然な事実から、ある教団の存在が浮かび上がってきた。調査を進めるうちにサキにも魔の手が伸びてきた。まわりの男性が何人も自殺するという謎の美女、流行のカウンセリングルームを開く医師など、彼らはこの世に何をしようとしているのか?サキの記憶には9.11の事件が隠されていた。あのテロが何かの始まりだったようだ。
第一話でなかなか面白い探偵小説だなと思っているうちに、どんどんオカルト(苦手;)めいた世界になってしまいました。第五話では、鍵となる芸術作品を追って、リタイアした探偵風祭と共に海外に出かけるところで終わるのです(終わってないって)。
五編のうち初出が1999年で、2000年、2002年と雑誌に掲載され、今回五話目を書き下ろして一冊の本にしたようです。ということは、9.11テロの話は最初からはプロットになかったということですね^^。
著者あとがきにいわく「このままの形で続編を書くつもりはない」という微妙な表現で、ええっ?と思いましたが、気長に待つことにしましょうか。でも話を忘れてしまいそう。