未発表の短編集です。第二次大戦を材にとったものが多くて、戦後にお蔵入りになった作品もあるとか。長編とはだいぶ雰囲気が違います。ヴォネガットの長編はとらえどころがなくて苦手だったけれど、なるほどこういう人物だったのですね。『文明への嫌悪』というヴォネガットの言葉がなんとなく分ったような気もします。「スローターハウス5」を購入したまま未読ですので、いつかそのうち読みましょう。
「二〇〇七年四月二十七日、インディアナポリス、バトラー大学のクラウズ・ホールにおけるカート・ヴォネガット」
死後に息子マークによって代読されたスピーチ原稿だそうです。こんな冗談ばかりのスピーチは、アドリブではなく、実に周到に用意されたものだったのですね。
死後に息子マークによって代読されたスピーチ原稿だそうです。こんな冗談ばかりのスピーチは、アドリブではなく、実に周到に用意されたものだったのですね。
「審判の日」
少年兵が第二次大戦の戦場にタイムスリップして見たもの。
少年兵が第二次大戦の戦場にタイムスリップして見たもの。
「ハッピー・バースデイ、一九五一年」
戦場の廃墟の地下に、仲良く隠れ住む老人と少年。老人の思いは六歳の少年には伝わらない。
戦場の廃墟の地下に、仲良く隠れ住む老人と少年。老人の思いは六歳の少年には伝わらない。
「一角獣の罠」
恐怖公ロベールの支配する11世紀イギリスの村で、「一角獣の罠」を仕掛けた息子に対する父の愛情。
恐怖公ロベールの支配する11世紀イギリスの村で、「一角獣の罠」を仕掛けた息子に対する父の愛情。
「無名戦士」
ミレニアムに生まれた赤ん坊に対する、ずいぶんと身勝手な世間の行為。
ミレニアムに生まれた赤ん坊に対する、ずいぶんと身勝手な世間の行為。
「サミー、おまえとおれだけだ」
捕虜収容所で出会ったジョージ。なるほどのオチで面白い。
捕虜収容所で出会ったジョージ。なるほどのオチで面白い。
「追憶のハルマゲドン」
世界の悪は悪魔のせいであると主張する実業家の建設した研究所。成り行きでハルマゲドンを招いたとされる事件の真相。最後の一行を先に見ないように。
世界の悪は悪魔のせいであると主張する実業家の建設した研究所。成り行きでハルマゲドンを招いたとされる事件の真相。最後の一行を先に見ないように。