壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ハヤブサ消防団  池井戸潤

ハヤブサ消防団  池井戸潤

集英社   Audible

初の池井戸潤で、初のAudible 。朗読がとても上手だったのと、会話文が多くて、耳からの情報が理解しやすかったため、最後まで聴き終えることができた。そして何よりも面白かったのが、都会の者が初めて田舎で暮らす時の驚きだった。

私が当地(田舎)に引っ越してきたのは数十年前だった。町内会? 当番? 運動会? 町内夏まつり? どんど焼き? 婦人会? (誘われなかったけれど)消防団?・・・と知らない事ばかりだった。消防団と消防署がちがう事さえ知らなかった。田舎の人間関係も濃密だ。同じ苗字が多いので、下の名前で呼び合うとか、だれだれが、どこそこの、だれだれと親戚・姻戚で、あそこの息子はどこどこの学校を出て・・・みたいなことが、すべて筒抜け状態だった。今はすっかり田舎に慣れて、それなりに快適に暮らしている。

経済関係に疎いので池井戸さんの小説は読んだ事がない。「七つの会議」という映画は見たことがある。会社組織にも疎いのだが、池井戸さんの小説では、“オジサンたちの願望”が実現されているのだろう。

主人公で語り手のミステリ作家・みまたろうは、亡き父の故郷に移り住んで、さっそくハヤブサ地区の消防団に勧誘される・・・と書こうとしたが、名前の漢字がわからないので、Kindleの試し読み版で三馬太郎であると確かめた。他の登場人物の名前も地名も、漢字がわからないまま聴き終えたが、まあいいかな。怪しげな宗教団体が暗躍し始めて、三馬太郎はミステリ作家として推理をめぐらすことになった。・・・ドラマにもなっているらしいが見なくてもいいかな、聴いただけで充分面白かったから。