壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

穢れた風  ネレ・ノイハウス

穢れた風  ネレ・ノイハウス

酒寄進一訳   創元推理文庫

月一回、オリヴァー&ピア・シリーズの5冊目は、風力発電に絡んだ利権争いを背景に起きた殺人事件。ドイツでは、海岸地方や洋上の風力発電が主力なのでしょう、本書の舞台のような内陸の山地にタービンを建設する事は自然環境保護と競合し効率が悪いというわけで、建設だけして大儲けしようとする輩が暗躍します。さらに地球温暖化による気候変動説は陰謀論なのか・・・という事はさておいて、いつも通り嘘つき容疑者がたくさん出てきます。でも5冊目にもなるとドイツ人名にも慣れてきて、すんなり読むことができました。

事件解決後の関係者の行く末を描くエピローグはものたりなかったけれど、事件の進行と捜査の進行の面白さは相変わらずです。でもオリヴァーが前作以上にヘタレていてびっくりしました。女に弱くて、家族に対して冷静になれず停職を喰らっています。捜査班のメンバーが入れ替わったこともあって、ピアがしっかりと捜査を主導していました。捜査班の面々がどうなっていくのか、次作が楽しみです。