壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

夏を殺す少女 アンドレアス・グルーバー

夏を殺す少女 アンドレアス・グルーバー

酒寄 進一 訳  創元推理文庫 電子書籍

オーストリアミステリだそうです。ほとんどの舞台はドイツ国内ですけどね。各地で起きた不審な事故死に見え隠れする少女を追うオーストリア若い女弁護士エヴェリーンと,精神病院で相次ぐ不審死を追うドイツ警察の刑事ヴァルターが出会い,過去の犯罪が明らかになるというスピード感のある展開です。

事件の動機となる過去の暗い犯罪はとても不愉快なものでした。読み始めてすぐに,この手の犯罪を予感させます。ただ,別々に進行する過去の犯罪の隠蔽と,復讐の両方が一点に収束していくあたりは読み応えがあります。二人の探偵さんたちもそれぞれに辛い過去を抱えていたのですが,事件の解決と共にその過去を乗り越えつつあるようで,それも救いとなりました。事件の題材はさておき,エンタメ系のミステリです。訳文も読みやすいのでほぼ一日で読了しました。

 

この暑い夏に『夏』とつく小説を読もうと思い立ち,デジタル図書を漁っていたら,6年も前に半額で買って積んでおいた本書を発見(?)。買ったのに忘れている本がかなりありそうです。