壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

愛の探偵たち アガサ・クリスティー

愛の探偵たち アガサ・クリスティー

宇佐川晶子訳 ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 電子書籍

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最近の長いミステリ小説を持て余して,古めかしいミステリ短編を読み始めました。マープル,ポアロ,クィンたちの8つの短編集です。未読の短編のはずでしたが,クリスティーの長編のプロットが思い出されたり,TVドラマで見たことがあるような気がするクリスティーの定番のミステリです。読みやすい短編だけれど,話をふくらませれば長編としても成立しそうで充分に楽しめました。ところで,ミス・マープルって何歳くらいの設定なのかがこの頃気になります。「名探偵は歳をとらない」法則を当てはめると,ずっと70歳前後なのかも。いつの間にか同年代になっていました。

「三匹の盲目のねずみ」 戯曲のノベライズということで,舞台での光景が浮かぶようです。

第二次大戦後に,若い夫婦が始めたゲストハウスは雪に閉ざされ,殺人犯が紛れ込んだという警察からの連絡があった。ナーサリーライム,雪の山荘,過去の事件,意外な犯人とありきたりのプロットですが,やはりクリスティーは面白い。この若い夫婦の関係がどうなるのか最後まで飽きさせません。

「奇妙な冗談」 叔父の遺言に振り回される若いカップルを助けるミス・マープル。おばあさんの繰り言に対する若い人のイライラが,クリスティーの醍醐味かも。

「昔ながらの殺人事件」 殺されたスペンロー夫人は金持ちで,夫が疑われたが,ミス・マープルの観察眼はいつも鋭い。

「申し分のないメイド」 首になったグラディスの替わりにやってきたメイドが完璧すぎて,ミス・マープルは気になる。予想外の展開でした! グラディスは前の殺人事件でもメイドをやっていたような。

「管理人事件」 ミス・マープルの主治医が処方箋代わりに書いた小説という提示の方法が面白い。謎を解くのがマープルへの特効薬でした。

「四階のフラット」 ポワロが住むアパートで起きた殺人事件。男女関係の機微を説くポアロなのでした。

「ジョニー・ウェイバリーの冒険」 子供の誘拐事件を解決したポワロはとても寛大でした。イングランドの古い屋敷には司祭隠しという仕掛けがあるのですね。

「愛の探偵たち」 サタースウェイトの前に突然現れたクイン氏が救ったカップルは…。これでハーリ・クィン氏の登場する短編14作品を読み終わりました。