壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

マン島の黄金  アガサ・クリスティー

マン島の黄金  アガサ・クリスティー

中村妙子 他 訳 ハヤカワ クリスティー文庫 電子書籍

f:id:retrospectively:20210927172821j:plain

未読のクリスティ作品を拾って読んでいるつもりですが,ドラマで見たのもあって,どれが既読なのか自分でも不明です。この短編集は,単行本に収められなかった短編を集めたものという事で,寄せ集めという感じですが,出版年から考えて未読のようでした。12の作品の中にはミステリではない心理ドラマや怪奇風のものもあります。心理ドラマの「崖っぷち」と「クィン氏のティー・セット」が好みでした。クリスティが醒めた目で描く女性心理には迫力があります。 メアリ・ウェストマコット名義の作品は死ぬまでにコンプリートしたいと思っています。

 

夢の家 幻想と怪奇のラブストーリー 

名演技  女優が強請から逃れるトリック

崖っぷち ライバルの女を困らせるための意地悪。「人を呪わば穴二つ」でなくてもよかったのに。あとがきによればクリスティ失踪事件の直前に書かれたものだとか。

クリスマスの冒険 これは「ポアロ」のドラマでも見た。本場のクリスマスプディングを食べてみたい。

孤独な神さま 「ムズキュン」の恋物語。だからハッピーエンド。

マン島の黄金 クリスティがプロデュースしたミステリツアーの小説。こんな企画も引き受けたのね。

壁の中 無意識の三角関係が進行する。終わり方があいまいですし,どういう終わり方がいいか判断できません。

バグダッド大櫃の謎 これも「ポアロ」のドラマで見ました。三角関係が犯人のトリックに使われています。

光が消えぬかぎり これも三角関係と幽霊?

クィン氏のティー・セット 『謎のクィン氏』が姿を消してから何年になるのでしょう。クィン氏に再会できて,サタースウェイトと同じように,私もうれしい。殺人を未然に防ぐという結末でよかったわ。

木蓮の花 これも三角関係で結構ドロドロです。2人の男を両方とも裏切る女は身勝手だと思うけど。

愛犬の死 「犬を飼っている未亡人の明日をも知れぬ貧困が愛犬の死をもって解決」みたいに皮肉な感じにまとめるのはよくないわ。