壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

くらしのための料理学  土井正晴

くらしのための料理学  土井正晴

学びのきほん  NHK出版  電子書籍

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家族のための料理を何十年も作ってきたが,人生の最後に自分のためだけの料理をすることになった。いつまで作れるかどうかはわからないが,ひとりの食事は気楽でいい。しかし,毎日毎日自分1人のためのご飯を作るのに飽きることがある。外食せずお惣菜を買わず同じような安い材料で毎日同じような食事をしていて,生きていくには十分だけれど,何か物足りないのはなぜか。この本を読んで,たくさんの名言に出会った。癒しを貰い,毎日の料理についてもう一度考え,背中を押してもらって,また明日から料理を続けようと思った。

二時間くらいで読める本ですが,たくさんのいい言葉を見つけました。抜き出しておきます。

  • おいしくなくてもいい 
  • 料理の周囲の情報に惑わされず料理の本来の意味を考える
  • 料理とは、食べられないものを、食べられるようにすること 
  • 料理は、おいしさよりも、食べられることを優先
  • 日常の料理は「一汁一菜」でいい
  • 手を抜くのではなく力を抜く
  • 和食:料理とは理り(ことわり)を 料る(はかる)もの
  • 日本人は、毎日同じ変わりばえのない暮らしをしていても、自然の移ろいに表れる小さな変化に美を見つける
  • おいしさは思いがけないご褒美
  • 料理が暮らしを作る 食卓を整えること
  • 料理する人の気持ちを守れ
  • 動物に餌をあげるのがうれしいのは利他の心 料理も利他
  • 毎日同じように味噌汁を作っても、毎日違う
  • 一椀の中という有限の世界に無限の変化がある  「有限の無限」であるから楽しめる。

下に記す本書の最後の言葉に特に納得した。毎日の食事の写真を撮ってこっそりブログに記載することで,コロナの中での単調な私の生活にもひそかな楽しみができた。

“どうぞ、食事の場をきれいに整えてください。それは、料理の楽しみの世界に入る扉です。簡単な料理をゆっくり作って、ゆっくり食べてください。一人で食べる時もきれいに整えてください。必ずなにかが変わります。