壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ベイカー街の女たち ミセス・ハドスンとメアリー・ワトスンの事件簿1  ミシェル・バークビイ

イカー街の女たち ミセス・ハドスンとメアリー・ワトスンの事件簿1  ミシェル・バークビイ

駒月雅子 訳  角川文庫  電子書籍

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世の中にシャーロック・ホームズパスティーシュはたくさんあります。小説に限らず,映画やドラマも数多く見ました。その中でも本書はコナンドイル財団公式のホームズ・パスティーシュだそうです。ハドソン夫人がベイカー街221Bの家主にして家政婦という事実(?)は揺るぎませんが,じつは推理好き冒険好きだったなんて驚きです。ワトソンの妻メアリーと組んで恐喝事件の解決に乗り出してしまうのです。

ハドソン夫人は何となく年配の女性というイメージがありましたが,本書ではアラフィフ(49)です。ビクトリア朝の頃の人間の寿命から考えると,50歳はもう晩年なのでしょう。でも本書の時代背景はもっと自由に設定されていて,現代的な要素がたくさん入っているのでとても若々しいミセス・ハドスンです。メアリーは正典で聡明な女性として描かれていましたが,カンバーバッチのシャーロックではスパイだったような覚えがありますしw,二人共かなり大胆で向こう見ずな行動に出ます。この二人の身を挺した冒険部分はすこし冗長で飽きるけど,事件は全部解決したわけではなさそうな匂わせがあるので,次回作を読みたくなって困ります。

でも語り手のミセス・ハドスンの身の上話から始まるつかみは魅力的です。彼女が何でこんなに厄介な店子シャーロックを受け入れているのかが,はじめて納得できました。そして,ハドスン夫人の台所の「家政婦は見た」的構造,給仕のビリーやイレギュラーズの少年たちとの心温まる交流などコージーな雰囲気で,とても楽しめました。