壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

敗者の嘘 アナザーフェイス2 堂場瞬一

敗者の嘘 アナザーフェイス2 堂場瞬一

文春文庫  電子書籍

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アナザーフェイス2作目。シングルファーザーの大友鉄は,子育ての時間を作るために警視庁刑事総務課に在籍しているはずなのに,上の人の特命で変則的に強盗殺人放火事件にかかわることになります。八歳の息子優斗を義母(亡くなった妻の母親)にあずけて夜遅くまで捜査に追われています。「その任務を断れないの?優斗を夜遅くに連れ出すなんて,危ないじゃないの!」と義母目線で読みました(笑)。

容疑者が自殺して,若い女性弁護士 篠崎優が,自分がやったと自首してきたけれど犯人とも思えずに釈放され,ところが彼女が拉致されて公安がかかわっていたのか,と事件が動く。大友は何かに気が付いて事件の裏をいろいろ推理していが,その推理の内容を読者には全く知らせてくれない。ほかに何か大きな事件が潜んでいるのかと構えて読んでいくと,ありきたりな(いや,警察にはあるまじき)捏造と腐敗。警察の命令系統を越えた捜査を行う大友と同期2人の仲良しぶりは楽しかったけれど,強盗殺人放火事件の真犯人は結局×××で,篠崎優のやったことは何だったのか,大友は最後に優に事件の真相を教えずに帰ったけれど,どうせ後でわかるよね。解決してもスッキリしない事件だが,この終わり方は嫌いじゃない。