壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ブラックサマーの殺人  M W クレイヴン

ブラックサマーの殺人 M W クレイヴン 東野さやか 訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 ワシントン・ポーの二作目も面白かった。冒頭,高級レストランでポー部長刑事が逮捕される場面から始まり,何事が起きていたのかとわくわくさせられる。 6年前に三ツ星レストラ…

産霊山秘録  半村良

産霊山秘録 半村良 祥伝社文庫 Kindle版 『睦月童』で思い出したのが,半村良の『産霊山秘録』。四・五十年前に読んだので,あらすじを思い出せなかったが,とくかく面白かったことは覚えていた。1970年代の初めは日本のSFの最盛期だったと思う。伝奇歴史小…

睦月童  西條奈加

睦月童(むつきわらし) 西條奈加 PHP文芸文庫 Kindle Unlimited かわいらしい表紙です ファンタジー時代小説かと読み始めました。 酒問屋の跡取り息子・十七歳の央介が悪い仲間と連れ立っている事を心配して,父親が陸奥の山奥から江戸に連れてきたのが,不…

ねじの回転 ヘンリー・ジェイムズ

ねじの回転 ジェイムズ 光文社古典新訳文庫 土屋政雄 訳 Kindle Unlimited 2012/9 ねじの回転 ヘンリー・ジェイムズ 新潮文庫 小川高義 訳 Kindle版 2017/9 一人称の物語で思い出したのがヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』。読み終わった『むらさきのス…

むらさきのスカートの女  今村夏子

むらさきのスカートの女 今村夏子 朝日文庫 電子書籍 芥川賞受賞作。中編で読みやすくて話の展開が面白く,ひねったユーモアがあった。「わたし」が語る「むらさきのスカートの女」。「信頼できない語り手」によるミステリアスな雰囲気があって,騙されたよ…

バージェス家の出来事 エリザベス・ストラウト

バージェス家の出来事 エリザベス・ストラウト 小川高義 訳 早川書房 電子書籍 バージェス家はメイン州の小さな町にある貧しい白人の家だった。ジムとボブの兄弟二人はニューヨークに出て成功し,司法関係の仕事をしている。ボブと双子の妹のスージーはメイ…

風の十二方位 アーシュラ K ル・グィン

風の十二方位 アーシュラ K ル・グィン 小尾 芙佐・他 訳 ハヤカワ文庫SF 電子書籍 ル・グィンの初期短編集で,17編のバラエティに富んだ作品が収められている。あまりにも多彩なため,各作品の場面設定が分からないものが多い。著者自身のまえがきが作品ご…

多摩川物語 ドリアン助川

多摩川物語 ドリアン助川 ポプラ文庫 電子書籍 多摩川沿いに住むごく普通の人々の,誰もがみんな抱えている鬱屈,悩みをそっと拾い上げて,ちょっとだけ救ってくれる,切なくて心温まる8つの連作短編です。わかりやすい言葉で繊細な感情が表現されて,気が付…