壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

電子マネー革命 キャッシュレス社会の現実と希望 伊藤亜紀

先週また上京して、雑用で中央線沿線をウロウロしています。私には電子マネーなんて縁遠いものだと思っていたのですが、Suica電子マネーだそうですね。ポイントカードのような擬似貨幣も含めて、現代社会には欠かせないものになってしまいました。Suicaで電車やバスに乗って移動し、ついでにコンビニで買い物したりすると、あっという間に残高不足になってしまいます。
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電子マネー革命 キャッシュレス社会の現実と希望 伊藤亜紀
講談社現代新書 2078 2010年760円

買い物をしたときに、クレジットカードに連動したポイントカードの有無を聞かれ「ポイントカードは持っていません」と答えて、なんとなく損した気分になるし、ポイント交換とかなんだか訳のわからないことが行われているようだし(スーパー専用のポイントカードくらいはもっていますけれどね)、・・・・・と電子マネーについて読んでみました。小説風のコントを挟みながらの解説は、経済音痴の私にもなじみやすいものでした。(2011年1月読了)

もし、現代日本で「私はすべての支払をコインやお札でしかやらない」という人がいたら、よほどの信念を持った人かかなりの変わり者と見られることを覚悟しなくてはならないでしょう。現金以外の支払手段としてクレジットカードやデビットカードがあるのですから。 ただ、より普及しているのはスイカパスモ、お財布ケータイなど小口決済の電子的ツール=「電子マネー」ではないでしょうか。これらは社会にすっかり定着した観があります。その背景には「電子マネー」が各企業の提供するポイントに互換性をもたせるという事態がありました。 しかし、こうした決済手段を本格的に規制する法律は、今年(2010年)4月に「資金決済に関する法律(資金決済法)」が施行されるまで、事実上存在しなかったのです。電子マネーの信用源は「民間企業の保証」です。否、「民間企業の保証」にすぎない、といってもいい。
 政府の保証、国家の信用にもとづく通貨以外のものが流通するという人類史上はじめての事態に、政治は追いつくのに必死です。本書では電子マネーの普及による小口決済手段の革命的変化の実態と、それがもたらす事態の問題性と可能性を提示します。(内容紹介より)