壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

パズル・パレス(上・下) ダン・ブラウン

イメージ 1

パズル・パレス(上・下) ダン・ブラウン
越前敏弥・熊谷千寿訳 角川文庫 2009年 各660円

NSA国家安全保障局)の暗号解読用スパコントランスレーター」は秘密裡に全世界のEメールを傍受解読している。解雇された元NSA局員エンセイ・タンカドは、解読不可能な暗号システムを構築して全世界に公表するとNSAを脅迫してきた。急死したタンカドの残した暗号解読キーを手に入れなければ、NSAの秘密どころか、データバンクにある合衆国の機密データがすべて公表されてしまう。キーを手に入れるためスペインに派遣された言語学者デイヴィッド・ベッカー、デイヴィッドの恋人でNSAの暗号解読主任スーザン。フレッチャーの活躍を描く痛快スリラー。

1998年に書かれたダン・ブラウンのデビュー作だそうで、ロバート・ラングドンシリーズではありません。ペースの速いクロスカッティングによって、NSAとスペインの二場面が同時進行します。十分に面白かったけれど、暗号解読の頭脳戦よりもアクションシーンが多くて、暗号に関する薀蓄がもう少し欲しいところです(理解できるかどうかは別にしても)し、十数ヶ国語に堪能という言語学者デイヴィッドの面目躍如!という場面が期待したよりも少ない。

解読不可能暗号システムを作ったエンセイ・タンカド、IT会社社長のトクゲン・ヌマタカはどちらも日本人です。どれも日本人名として不自然だし、特に、「タンカド」はナイでしょ・・・・と思いました。が、これはわけありでして・・・・。でも日本語と中国語の関係、原爆による被爆の事、どれもなんとなく誤解があるようで・・・・。訳者あとがきに「日本に関する記述に明らかな誤解に基づく記述が数箇所あって、訳出の際に修正した」とあったのだけれど、修正なしに訳して欲しかったかも・・・・。そういうところが面白いのにね・・・