壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

数学で犯罪を解決する キース・デブリン, ゲーリー・ローデン

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数学で犯罪を解決する キース・デブリン, ゲーリー・ローデン
山形浩生, 守岡桜 訳 ダイアモンド社 2008年 1900円

ホームズの時代から犯罪を解決するには化学は欠かせませんでした。DNA分析や薬物の特定など、証拠の品いわゆる「ブツ」を調べるための現代科学は、かなり進歩しています。心理学や行動科学もまた犯人を追い詰めるために欠かせないものになっています。(まあ、単なるミステリファンなので、たぶん・・ですが)。IT時代に数学が欠かせないのは分かるけれど、でも数学で犯人を追い詰めるとは何のことでしょう?  と図書館の新着図書コーナーで見つけた本を読んでみました。

NUMB3RS:天才数学者の事件ファイル」という、大人気のアメリカのTVドラマがあるそうです(日本でもCSで放送されたとか)。そのドラマをきっかけにして、実際の犯罪捜査で応用される数学について、面白い話がたくさんありました。理解できない数学の部分は適当に読み飛ばしても、大体のことは分かりました。

暗号の解読、市内に頻発する連続殺人の犯人の居所を地図上だけから分析する方程式(地理的プロファイリング)、ぼやけた画像をはっきりさせる数学的処理を用いた画像エンハンスメントのように、実際の犯罪捜査で有効な手段になっているものがある一方、理論は開発されているが応用してみるとうまくいかない例もあげられています。それから、テロのリスク分析でペンタゴンが狙われる可能性があると指摘されていたのに・・みたいな話もありました。

DNA分析や指紋分析を大きなデータベースで利用するときのコールド・ヒットの問題点はよく分かったし、「囚人のジレンマ」をドラマで応用する話は面白かった。話の半分近くはテロ対策で、社会全体をサーチするような方法は数学を使って効率のよいものを作ることができるというのは納得。裁判で間違った確率計算による誤審が起きたこともあったそうで、統計や確率って使い方によっては、いくらでもうそをつける(素人を騙す)みたいです。

著者たちによるシーズン3までエピソードのあらすじ、さらに訳者による濃い前書きと懇切丁寧な後書きという小さな親切^^もあって、ドラマを見たことがなくても見るつもりがなくても、とても楽しめました。このドラマを見る予定のある人は、見た後に読むほうがいいかもしれません。