壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

おそろし 宮部みゆき

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おそろし 宮部みゆき
三島屋変調百物語事始
角川書店 2008年 1700円

第一話から第四話までが、最後話第五話の前置きのようです。そう考えないと、実に落ち着きが悪い。異世界の扉(=心の扉)の錠前を開けるのには、相当な力が要るんです。どれも結末のつけがたい救いようの無い出来事で、傷ついた心を癒すのはたやすい事ではないにしても、語る事によって少しずつ前に進めるでしょう。最後の登場人物総出演の場面はにぎやかで面白くて救いとなります。でも、おちかの心の闇は、まだまだ深い。(続編があってよかった。)

『おそろし』では予約戦線に参戦し損ねたので二年遅れになりました。図書館で続編『あんじゅう』を予約したらもう160人目でした(半年待ちかな)。続編もこの調子で続くとなると、登場人物を忘れないようにメモしておくべきですね。

三島屋の叔父夫婦に預けられたおちかは実家での痛ましい出来事に心塞がれて、それでも健気に働いています。そんな彼女を不憫に思ったのか、叔父の伊兵衛は『変調百物語』の聞き役をおちかに頼みました。
第一話『曼珠沙華』 建具屋藤兵衛の物語 殺人を犯し遠島になった兄吉蔵
第二話『凶宅』 禍々しい武家屋敷に住んだおたか、草履問屋越後屋清太郎の二つの物語 錠前職人辰二郎一家行方不明
第三話『邪恋』 おちか自身の物語 ≒嵐が丘(全然違うか)。ヒースクリフ:松太郎、ヒンドリー:喜一、エドガー:良助
第四話『魔鏡』お福の物語。 姉お彩と兄市太郎の道ならぬ恋。
第五話『家鳴り』この世から消えた禍々しい武家屋敷は、人の心に棲み付いている。