口入れ屋おふく 昨日みた夢 宇江佐 真理
角川文庫 Kindle Unlimited
おふくは五年前に離縁して、実家の口入れ屋に戻ってきた。夫の勇次が店のお金を拐帯して姿を消したためだ。勇次が逃げた理由が分からないおふくは、今も勇次への未練を断ち切れないでいる。店や家の仕事を手伝いながら、臨時の女中奉公に出ている。斡旋した奉公先の女中が逃げ出したり、働き手が見つからなかったりするとき、実家の父や叔父に頼まれると断れないのだ。
楽しみながら、ほろりと癒される人情時代小説の連作短編6編。一話ごとに、“派遣”された奉公先で、いろいろな人間模様、夫婦関係をみて成長していくおふくは、勇次と再開した後、未練を断ち切って前を向いて進んでいく。シリーズとして続きそうな様子だったが、宇江佐真理さんは2015年に66歳で逝去された。
作者の代表作『髪結い伊三次捕物余話』を、いつか読みたいと思いながら、読み放題の別の本書が初読になってしまった。髪結い伊三次シリーズは第一巻から読みたいが、全15巻なのでなかなか手が出ない。新聞連載中に絶筆となった別の物語を次に読もう。