壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ヴィラ・マグノリアの殺人 若竹七海

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ヴィラ・マグノリアの殺人 若竹七海
光文社カッパノベルズ 1999年 880円

古書店アゼリアの死体のシリーズ第一作。コージー・ミステリは後を引きますね。コージーな雰囲気なのに甘いだけじゃない、ほろ苦さも加わって癖になりそうな美味しさです。

葉崎市のはずれ、海を望む傾斜地にあるヴィラ・マグノリアは名前からすれば洒落た別荘地のはずですが、実はごく普通の2LDKの建売住宅が十軒。その中の空き家で身元不明死体が見つかりました。

どこにでもいるような普通の人のように見えた住人達は、実はそれぞれに秘密を抱えています。双子の娘をもつシングルマザー、元スッチー妻をもてあます夫、近所のもてあましものの主婦、やり手のホテル経営者の女性、これもやり手の古書店主の女性とその母親、女性翻訳家など。特に女性は強い個性の持ち主です。

駒持警部補はなかなかの役者です。はじめは尋問に手こずっていたのに、そのうち住人たちの隠れた悪意をうまく誘導して掘り出してました。近所の豪邸に住むハードボイルド作家角田港大の秘密は読者しか知りません。駒持警部補もたじたじな双子ちゃん達に、、警部補はけっこう尊敬されていると思ったんですけどね。双子ちゃん達が犬につけた名前がなんとも・・・。