壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ウォンドルズ・パーヴァの謎 グラディス・ミッチェル

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ウォンドルズ・パーヴァの謎 グラディス・ミッチェル
清野泉訳 河出書房新社 (KAWADE MYSTERY) 2008年 2310円

ミセス・ブラッドリーシリーズとしては、二作目。1927年に書かれたものです。

イギリスの田舎では、今日も殺人が起きています。屋敷の主人ルパートは行方不明で、従兄弟のジェームズは挙動不審です。もちろん死体が見つかります、それも首なしで肉屋のフックに吊るされて・・。

隣の教会の牧師はひどい物忘れ、村の医師には秘密がある。現れては消える頭蓋骨に、胡散臭い芸術家たち。誰も彼もみんな個性的な人物ぞろい。森の中には古代の神殿跡があって、夜中に人がうろうろしている。そして最もあやしいのが、鈎爪のような指を持ち、鳥のような顔と黒い瞳で、かん高く笑うミセス・ブラッドリー。

35歳から90歳のうちのどの年齢にも見えるという小柄な夫人は、警察を巧く動かして、あやしい血痕の分析をさせ、村人とちょっと話をするうちに、秘密を語らせてしまうのです。牧師の娘フェリシティと15歳の少年オーブリーを助手のように使い、犯罪を分析して犯人の性格を言い当てる。

精神分析医であるミセス・ブラッドリーは優れたプロファイラーのようですね。でも彼女の手帳の内容は分かったようで分からなくて、なんだか可笑しい。読者の予想を微妙に裏切る筋運びと分かりにくいユーモアは、癖になりそうです。