壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ポドロ島 L.P.ハートリー

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ポドロ島 L.P.ハートリー
今本渉訳 河出書房新社 (KAWADE MYSTERY) 2008年 2310円

レスリー・ポールズ・ハートリー(1895-1972)はイギリスの怪奇幻想小説家。短編は個々に邦訳されているけれど、短編集が単行本として出たのは本邦初のようです。ミステリーだと勘違いして読み始めましたが、少しだけ怖いので、昨晩は久しぶりに悪夢を見ました。わけの分からない夢でした。

事実が明示的に説明されていないし、えらく技巧的な語りです。結末もオープンなまま。ぼんやりと読んでいると話の筋も見えてこないような、結構難解なものが多いので、ストレートな怖さは半減しますが、読み返してもう一度、ジワッと背筋のあたりに寒さを感じます。サイコ・スリラーというのでしょうか。私にとっては昼間限定の読書です。

『ポドロ島』 ヴェネチア沖の小島にピクニックに出かけた男女が遭遇する恐怖。何が本当なの?
『動く棺桶』 蒐集家の友人のコレクションの恐怖。どんな風に動くの? 
『足から先に』★★ 呪われた家で幽霊に取り付かれたらしい恋人を救うには。突飛過ぎない?
『持ち主の交代』 もう少しのところで手に入れられなかった屋敷に執着する男。お前は俺か? 
『思いつき』 教会で懺悔し続ける男が遭遇した恐怖。やはりアレですか? 
『島』★ 嵐の夜、愛人が住む島でその夫に出会う恐怖。何が起きたの? 
『夜の怪』夜警に話しかける男。誰?  
『毒壜』 招かれた古城での恐怖。分かりやすい話なのに、なんで分からないの? 
『合図』しつづける幼い妹の頼みを無視した兄。こんな想像していいの?
『W.S』という署名の葉書を次々に受け取った作家の虚構と現実の境を越える恐怖。
『パンパス草の茂み』の向こうにある恐怖。   死んだのは何故?  
『愛し合う部屋』★★★真夏のヴェネチアで開かれたパーティーでの恐怖。死んだのは誰?