壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

トムは真夜中の庭で フィリパ・ピアス

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トムは真夜中の庭で フィリパ・ピアス
高杉一郎訳 岩波少年文庫 1975年 670円

 

 「まぼろしのすむ館」から連想して再読しました。最初に読んだのは約20年前です。娘たちのためと称して、岩波少年文庫大人買いしたことがあります。もちろん私が、こっそり、真っ先に読みました。その中の一冊です。子供のときに読めればよかったのに・・・という本ですが、確かな物語構成ですので大人も充分に楽しめます。

 

今はアパートとして使われている古い邸宅の玄関ホールにある大時計は、真夜中に十三も時を打ちます。トムがドアから裏庭に出ると、そこには昼間にはなかったはずの庭園が広がっていました。その庭園で古めかしい服装のハティという少女と友達になります。

 

今回再読してみて、筋立ての意外な部分以上に、情景描写を楽しむことができました。庭園の木々や草木の間で遊ぶ子供たちの生き生きとした姿。とくに圧巻なのはノーフォーク地方が寒波で氷結した冬の日、ハティとトムがスケートで川くだりをするあたりです。この印象的な場面はおばあさんになっても忘れられませんよね^^。