壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

まぼろしのすむ館 アイリーン・ダンロップ

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まぼろしのすむ館 アイリーン・ダンロップ
中川千尋訳 福武書店 1990年 1400円

図書館の長期休館で、まとめて借りた本はまだ6冊残っていますが、手軽に読める本から消化してしまいました。残りは厚い本ばかりで、今日は手をつけたくない感じです。何かないかと物置にある本棚をさがして、未読の児童書を見つけました。アイリーン・ダンロップの邦訳はこれ一冊きりのようです。

グラスゴーの街を見下ろす高台にある「丘の館」で、母さんの叔母さんのジェーンと住むことになったフィリップは気が進みません。父さんが亡くなってから母さんが大変なのはわかるけれど、ずっと没交渉だった大叔母ジェーンに預けられるのは不本意でした。身分違いの結婚をした父さんは、金持ちのギルモア家に反感をもっていました。

従姉のスーザンもジェーン大叔母に預けられていましたが、お高く留まった私立学校に通っていてなんとなくしゃくに障ります。大叔母はフィリップの顔を見ようともせず、ひどくぼんやりとして、子供に無関心であるようにも見えます。屋敷は陰鬱で息が詰まるようで、フィリップは癇癪をおこし勝手気ままに振舞います。

フィリップとスーザンは、あるとき空き部屋のドアから不審な明かりが漏れているのに気がつき、次第に意気投合して古い屋敷の謎解きをはじめます。写真だけに写る空っぽの部屋の家具。いつの間にか閉められたカーテン。荒れ果てた庭のあずまや。

謎を追ううちに、大叔母ジェーンの辛い過去を知り、フィリップは他人を思いやる気持ちを取り戻し、自分の未来について真剣に考えるようになり、ジェーンもまた周りの人たちに心を開き、笑いを取り戻していきます。ジェーンとフィリップは世代を超えた友情を持つことができたようです。

昨日、Yahoo動画の無料オンライン試写会で「西の魔女が死んだ」を見ましたが(抽選に当たった!)、これも祖母と孫の、いわば世代を超えた友情の物語です。

幽霊話は、なんとなく「トムは真夜中の庭で」を思い出させましたので、再び物置に直行して「トムは真夜中の庭で」を見つけ出し、読み返しています。

児童文学の森に入り込みそうで、図書館の小難しい本はどうすればいいの? 借りたからには読みたいし・・。