壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

QED 百人一首の呪 高田崇史

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QED 百人一首の呪 高田崇史
講談社文庫 2002年 800円

QED第一作です。百人一首コレクターの真榊大陸が殺されたときに握りしめていたのは文屋朝康の札。殺人事件が起きてそれを解決した名探偵がいるので、いちおうミステリではあるのですが、謎解きの主力は犯人探しではなく、藤原定家百人一首に籠めた意図を解き明かすのが目的のようです、たぶん・・。

ネタバレかもしれませんが、アリバイ崩しも犯人の殺意も百人一首の謎とは何の関連もなく、殺人事件は、『百人一首曼荼羅であり怨霊に対する結界であった』というトンデモ(失礼!)を証明するための命題を提起する意味しかないのです。・・で、このばかばかしさがおもしろくて大好きです。

歴史ミステリというか、薀蓄ミステリというか、大昔に読んだ高木 彬光『成吉思汗の秘密』だって、殺人事件が起こったかどうかさえ覚えていないけれど、「義経ジンギスカン」説は強烈に印象深かったですものね。『百人一首の呪』は1998年のメフィスト賞受賞作で、このQEDシリーズはずいぶん続いているようです。第二作『六歌仙の暗号』も手に入れました。 ♪♪  でも・・・

二月はじめに入院した夫が帰宅し、混乱した日常生活を立て直しているところですが、日常生活がルーチンワークになるにはだいぶかかりそうです。たまに本を開いて続きを読もうとしても、同じところを繰り返し読んでしまい、ちっとも先に進めません。こんなときにはどんな本を読んだらいいのかしら。展開の速いミステリは、推理についていけないので不向き。読みかけの「ローマ人の物語」を再開するか、いっそのこと途中放棄のプルーストでも読むかなあ~。