QED第一作です。百人一首コレクターの真榊大陸が殺されたときに握りしめていたのは文屋朝康の札。殺人事件が起きてそれを解決した名探偵がいるので、いちおうミステリではあるのですが、謎解きの主力は犯人探しではなく、藤原定家が百人一首に籠めた意図を解き明かすのが目的のようです、たぶん・・。
ネタバレかもしれませんが、アリバイ崩しも犯人の殺意も百人一首の謎とは何の関連もなく、殺人事件は、『百人一首が曼荼羅であり怨霊に対する結界であった』というトンデモ(失礼!)を証明するための命題を提起する意味しかないのです。・・で、このばかばかしさがおもしろくて大好きです。
歴史ミステリというか、薀蓄ミステリというか、大昔に読んだ高木 彬光『成吉思汗の秘密』だって、殺人事件が起こったかどうかさえ覚えていないけれど、「義経=ジンギスカン」説は強烈に印象深かったですものね。『百人一首の呪』は1998年のメフィスト賞受賞作で、このQEDシリーズはずいぶん続いているようです。第二作『六歌仙の暗号』も手に入れました。 ♪♪ でも・・・