図書館に行けず、気軽に読めるものを積読本の中から一冊。
四人の馬主が共同所有しているサラブレッド「セシア」は三億二千万円の値段がついていました。そのセシアが牧場で骨折し、それを隠蔽するために仕組まれた狂言誘拐のはずでした。しかし誘拐事件は思わぬ方向に動いていきます。犯人が被害者?という設定、身代金の意外な受け渡し方法は、殺人の起こらないミステリなのに(殺人が好きというわけではありません、念のため)充分に楽しめました。
あとがきによれば、岡嶋二人氏の実質的な処女作だそうです。乱歩賞受賞作「焦茶色のパステル」も面白かったけれど、これもなかなか。競馬やサラブレッドのことは何にも知らないので、トリックもまったく見抜けず、最後まで「なるほど」と感心することしきり。