壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

いのちのパレード 恩田陸

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いのちのパレード 恩田陸
実業之日本社 2007年 1500円

恩田さんの「奇妙な味」は、不可解で不思議で不条理で素敵です。「別の世界へ通じる入り口が身近にある」(『小説以外』)という恩田さんの落とし穴に見事にはまりました。長編では解かない謎に欲求不満にもなるけれど、短編は申し分なくすばらしい。

『観光旅行』  モアイに指があったらこんな風景かもしれない。
『スペインの苔』  どういう発想でこんな話になるのか、まったくわけがわからない。
『蝶遣いと春、そして夏』  なんて美しい世界。
『橋』  このこりとめのないラストがわりと好き。
『蛇と虹』  ぞくっとくるお話。
『夕飯は七時』  知らない言葉に抱く印象がここまでシュールになれるとは・・。
『隙間』  恩田さんはこういう隙間をいつもさがしているのかな。
『当籤者』  ロト7の当たりくじは相当に怖い。
『かたつむり注意報』  小さいカタツムリが無数に現れてくるのよりは、気持ち悪くないけれど・・。
『あなたの善良なる教え子より』  この中では最も筋の通った話?いやいや・・
『エンドマークまでご一緒に』  ミュージカルって、突然歌いだしてすごく不自然な気がしていました。
『走り続けよ、ひとすじの煙となるまで』  最も面白い!文明の発生と終焉までを語る壮大な物語。
『SUGOROKU』  このリアル双六ではあがりたくないですね。
『いのちのパレード』  ノアの箱舟から出てきた生き物たちの行列みたい。
夜想曲』  物語を紡ぐことは、すなわち人工知能に知性が誕生した証。

図書館で予約していたのが、忘れたころにやって来ました。久しぶりに図書館に行きましたがこの本を一冊借りただけで、他の本を見ないようにひそひそと帰りました。