壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

異邦人

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異邦人 パトリシア・コーンウェル
相原真理子訳 講談社文庫 上下各800円

図書館利用を大原則にしたはずなのに、長年の習慣でスカーペッタシリーズの第15作「異邦人」を無意識に購入しました。無条件で購入する文庫本はこれ以外に「御宿かわせみ」だけです。でも蔵書としては保存していないので、この本、読みたい人に差し上げますよ~。

検屍官として鮮烈にデビューしたスカーペッタの輝きはだんだん薄れていますが、マンネリズムはシリーズ物の定め。やはりお気に入りのシリーズなので期待します。本の帯の「スカーペッタ in ローマ」に釣られてしまいましたが、イタリア系の彼女がローマにいたのはほんの少しだけ。ローマで活躍する場面は殆どありませんでした。「ベントンとの絆」はともかく、「マリーノの裏切り」まで明かすのは行き過ぎでは。「Book of the Dead」が「異邦人」という訳題!?

スカーペッタの周りで起きる出来事や、あちこちで起きる複数の殺人の関連性がだんだんに明らかになっていくところはこのシリーズの魅力です。張られた伏線は結末を明かされればなるほどと思います。最先端の科学機器や方法が捜査に使われるところは個人的に好きですが、得られた証拠を事件の解決に結びつける経緯は飛躍しすぎかな。

と、不満ばかりのようですがちゃんと楽しめました。ルーシーもこのごろ落ち着いたみたいだし、最後にはスカーペッタの情緒不安定さも消えて少し元気になったようですが、彼女は何歳になったのかなあ。彼女の人物像がぼやけてしまったけれど、マリーノやローズの事がこの先どうなるかとても気になるので次回作も読むつもりです。でも次回から図書館本にしたい。