壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

名作文学に見る家

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名作文学に見る家 愛と家族編 謎とロマン編 小幡 陽次郎 横島 誠司
朝日新聞社朝日文庫) 1997年 各700円

「砂のように眠る」をよんでいて、本の主題と全く違うことを連想し、また横道にそれてしまいます。石坂洋次郎「陽のあたる坂道」の家の構造が、『二階の廊下が一階の居間を取り囲むギャラリー状になっていて、めいめいの部屋のドアが並び、ヨーロッパの娼家のつくりではないか』というくだりがあったのですが、この本に「陽のあたる坂道」の家の見取り図があったことを思い出しました。この間取り図には、ギャラリー状の吹き抜けはないようです。

三四郎』(夏目漱石)の舞台となった家はどんな家だったのか。そして『青年』(森鴎外)の主人公が見つけた家は―建築好きの読書家と読書好きの建築家が、日本の名作・傑作を題材に空想の間取り図を読みとり描きおこして、読者を文学の舞台へといざなう、読んでも見ても楽しい名作文学ガイド。(BOOKデータベースより) 愛と家族編

「夢想大工」を自称する読書家と建築家が、日本と世界の傑作から、その舞台となった「家」や「店」などのイメージを読みとって、具体的に間取り図を描きおこしてみせる。空想の翼を広げる喜び、自分の想像していた空間と比べてみる面白さ…名作を二度楽しみたい人のための、楽しい文学ガイド。(BOOKデータベースより)謎とロマン編

物語に出て来る、地図、家の間取り図、見取り図が大好きです。虚構の中の虚構が面白いのです。思い出しては、この2冊の文庫本を眺めています。

謎とロマン編では、安部公房砂の女」の家は絵にするのはどうかとも思いますが、森瑤子「渚のホテルにて」の鮫鰭亭はなかなか洒落ています。愛と家族編の方で、敷地面積が一番大きいのが、島崎藤村「夜明け前」に出て来る「馬籠本陣」でしょう。

間取り図を見ていると、いろいろ再読したくなります(「夜明け前」、再読は無理です)。私のイメージは、TVドラマのセットとぜんぜん違うので、「八丁堀の湯屋」の大黒湯でなくて「御宿かわせみ」そのものを描いてほしい。かわせみ「十三歳の仲人」がやっと文庫になったらしいので、やはり買うことにしようかしら。読書の広がりを求めているつもりですが、やはり同じところに戻ってきます。

そして、外島の不可能の家の間取り図も欲しいのですが・・・。イメージ 2