壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

シックス・ストーリーズ 現代韓国女性作家短編

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シックス・ストーリーズ  現代韓国女性作家短編 キム インスク, コン ジヨング , ハ ソンラン, キム ヒョンギョング , ソング キョングア チョウキョンラン 著
安 宇植 訳    鷺沢 萠 (エッセー) 集英社 2002年 2200円

韓国の純文学を読みたいと思い、いつも利用する市立図書館のオンライン検索で、韓国文学NDC929.1を探したら、400冊以上ヒットしました。そのうち2003年(冬ソナ)以降のものが約半数で、多くのノベライズ本やドラマ原作本がありました。一冊ずつ書誌を見て探し、この本を見つけました。他にも現代韓国短篇選上下(岩波書店)がありましたが、故 鷺沢 萠氏がエッセーを寄せているので、まずこちらを読みます。

2002年に集英社から出版されていますから、このときすでに韓国文化への需要がかなり高かったのでしょう。(岩波書店の短編も同じ年ですが・・まあそんなに深い意味はありません)。鷺沢 萠さんのエッセーにも、「韓国文化を楽しむために、特別な問題意識や歴史的関心が必要であるという時代は終わった、面白いものを面白いと感じる柔軟なこころのほうが重要とされる時代がやってきている」とありました。

六人の女流作家のうち、五人が1960年代生まれです。どれも、女性らしい視点で日常が描かれているのですが、社会や家庭、または自分自身の規範や枠組みという状況に向き合い、もがく人たちの姿は、日本の社会のそれと酷似する部分がありました。

昨日、アリス・マンローの「木星の月」を読んだ時に感じた「異なる文化的背景のなかの普遍性」ではなく、「似た背景の中での共通性」といえます。六人ともまだ若い作家ですから、マンローのような充分に発酵して熟成した味ではなく、未発酵の熟れていない味を感じますが、それもまた味わい深いものです。

冬のソナタ」に惹かれて、読書の対象が広がり、楽しみも増えました。次に読む本を選ぶ時、何かのきっかけがなければ、全く新しい分野のものを手に取ることはまずありません。何かしらのつながりがあって、私は本を選ぶのですが、他の人はどのように本を選んでいるのか知りたくなりました。