壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

環境考古学への招待

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環境考古学への招待 発掘からわかる食・トイレ・戦争 松井章
岩波新書  2005年 740円
 
貝塚(つまり当時のゴミ捨て場)やトイレ、果ては戦場跡の遺体まで掘り起こし、土に含まれる、骨、植物種子、プラントオパール寄生虫卵、ミネラルを分析しては、当時の生活を掘り起こす作業です。細かな事実の積み重ねで、当時の生活の様子が見えてくるのですが、前に読んだ「文明の環境史観」(安田 喜憲)とはずいぶん違った環境考古学です。

発掘された溝は祭祀遺構なのかトイレなのか、北米先住民文化と縄文文化の共通性、イノシシが家畜として飼われだしたのはいつか?縄文犬と弥生犬などもっと詳しく知りたいことがたくさんありました。新書ですからあまりくわしい事は書いていないのですが、未解決のことも多いようです。話題もかなり最近のものです。

環境考古学の対象は古代から現代に及び、19世紀や20世紀の戦場跡での分析も行なわれているそうです。クロアチアの大量虐殺を解明する国連の仕事にも考古学の手法が使われています。