淡交社 図書館本
『香子--紫式部物語』を読み終わって返却した図書館で見つけた『ミライの源氏物語』。1000年前の小説を現代的な視点で読むことについてのエッセイだった。
『源氏物語』を読むとき、ついうっかり現代的な視点で読んで、“貴族のセクハラ・パワハラ男たちに腹がたち、女たちの階級差別にあきれる。ツッコミどころ満載なのだ。六条院なんかハーレムそのもの”…なんていう感想を持った。しかしながら、紫式部物語の作中作として読むことで、当時の社会規範を受け入れながら読むことができた。多少モヤモヤしながらも・・・。
現代人にとっては違和感ありまくりなのだが、1000年という長い時間を考えた時には違和感があるのは当然の事だ。山崎ナオコーラさんの本を読むのは初めてだが、多様な視点を持った方のようで、ルッキズム、ロリコン、マザコン、マウンティング、トロフィーワイフ、エイジズムという視点が並んでいるが、けっして源氏物語に対する揶揄ではない。著者の卒論のテーマが「浮舟」だという事で、源氏物語を大切に読み解いている姿がうかがえる。違和感とモヤモヤが少し解消された気がする。
近々、講演会があるというので、行ってみるつもりだ。
本日、講演会に行ってきた。山崎ナオコーラさん御本人が本書について語っているので、内容は同じなのだが、印象に残った言葉は、・・・
千年前の源氏物語を今も我々が読むことができるのは、日本人が長い間読み継いできたからで、時代ごとに読み方が変化しているのかもしれない。現代の私たちもまた現代的な視点で読んでいくことで、源氏物語を未来につなげていきたい
・・・というような事だった。文学作品は作者が書いて読者が育てていくもの、という事ですね。