壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

わたしの美しい庭   凪良ゆう

わたしの美しい庭   凪良ゆう

ポプラ社   図書館電子書籍

図書館の電子書籍は未だコンテンツが少ないので、とりあえず借りられる小説を予約しておいたのが、回ってきた。初読みの作家。

マンションの屋上にある「御太刀神社」には、悪縁を断ち切るという御利益がある。古い神社の敷地にマンションを建て屋上に社を置いたのが、宮司である統理の両親。今はそれを受け継ぎ、統理はなさぬ仲の百音と暮らす。マンションの住人達には、心に何かしら抱えるものがあるが、悩みながらも生きていこうとするという、分かりやすくていい話。登場人物のキャラが明確で魅力的だ。「普通の人」からはちょっと外れるかもしれないけれど、お互いに支え合う姿が好ましい。

ビルの上にある神社で不思議なことが起きるのかと予想していたが、現実の範囲に収まる話だった。歳をとると、こういう「いい話」に癒されにくくなる。いつまでも素直な気持ちを持ち続けられるといいのに、と思う。いや、若い時からひねくれていたのかしらん。