壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

脳釘怪談  朱雀門 出

脳釘怪談  朱雀門 出

竹書房怪談文庫 Kindle Unlimited

著者のデビュー作『今昔奇怪録』を15年近く前に読みました。ホラーだけれど、読者を怖がらせる意図がない、あまり怖くない怪談でした。『脳釘怪談』はシリーズ7冊で、表紙がおどろおどろしいので敬遠していましたが、読み放題に釣られました。

あり得ないような不思議な体験をした話で、本人は怖かったでしょうが、その話を聴いたものは不思議さを面白がってしまいます。他人の不思議な体験を聴き、皆で語り合えるのは、楽しいかもしれません。怖いより、不思議。不思議でわけがわからない所がちょっと面白い。でも少しだけ怖い。そんな話が40話ほど。

怖かったのは「怪談 呪殺寺」で、正統派の怪談。ちょっと笑えたのが「ぶわご」、「ネクスト、ユー」など。

 

実話系の怪談は、実話とは銘打っていますが、実は、実話とは限らない、一種の認知の歪みとして感じられた体験で、万人が認め得る事実ではありません。ラマチャンドラン『脳のなかの幽霊』、サックスの『見てしまうひとびと』には、精神医学的に扱われるような実例がありましたが、幻覚は必ずしも疾患とはつながらないもののようです。

『脳釘怪談』シリーズ7冊のうち6冊が読み放題に入っているが、そんなに続けては読めません。

『首ざぶとん』という連作短編も気になりますが、読みたいような読みたくないような、「怖いもの見たさ」でいっぱいになっています。