壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

夜 エリ・ヴィーゼル

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夜 エリ・ヴィーゼル
[新版] 村上光彦訳 みすず書房 2010年 2800円

1944年、トランシルヴァニアの小さな町にドイツ軍が姿をあらわす。15歳の少年とその家族はゲットーへ移送され、さらにアウシュヴィッツへ……、そして強制収容所での選別、幼児の焼却、公開処刑、極寒の死の行進。「飢え、渇き、恐怖、輸送、選別、火、煙突など。それらの単語はいまはなにごとかを意味している。しかしあの当時、それらの単語が意味していたのは別のことがらであった」《人間》《神》《愛》といったすべてが死んだ極限状態を格調高い筆致で淡々と描くこのドキュメンタリー小説は、われわれを決して忘れてはならない記憶へと引きもどす。「証人であろうと願う生き残りにとって、問題はいまも単純なままである。すなわち彼の義務は、死者たちのためにも、同じく生者たちのためにも、そしてとりわけ未来の諸世代のためにも陳述することなのである」今なおやまぬ民族対立の時代にあって、ホロコーストという《夜》から立ち上げるべきものを問いかけつづけるロングセラーを改訳、さらに著者による新たな序文を付してここにお届けする。裏表紙より

十五歳の時に家族でアウシュヴィッツに送られ、父親とともに収容所で過ごすうちに、ふと老いた父親を重荷に感じたことで自分を責め続ける少年の痛みに対して、なんと表現していいのか感想を書くこともできず、ただ読んだことだけを記録しておきます。