壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

生きるって人とつながることだ! 福島智

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生きるって人とつながることだ! 福島智
全盲ろうの東大教授・福島 智の手触り人生
素朴社 2010年 1600円

以前に読んだオリバー・サックスの 『手話の世界へ』 は感銘深い本でした。原題は『Seeing Voice』。でもその手話が見えないときにはどうするのでしょう。テレビで、この本の著者である福島智さんが通訳者に指をタイプしてもらう様子を見ました。指点字というそうですが、点字タイプライターの指使いを元に直接指に触れる方法を、福島さんのお母さんが偶然考え付いたものだそうです。母は強し、強い愛情を感じます。

私は、近頃、老眼の度合いがますます進行して、長時間の読書が苦痛になりつつあります。目が疲れたときは、インターネットやポッドキャストで朗読を聴くことがありますが、慣れないせいか、耳からの読書は苦手でした。目で読書するときはたいてい、音声処理しないで読んでいるからでしょう。耳で聞いた言葉が頭の中で文字に変化していき、その頭の中の文字を読んでいるような、非常に不思議な感覚にとらわれたりしました。でもこの頃は耳からの読書にも慣れてはきましたが、聴いている音の音量がひどく大きくなっているのに気が付きました。目も耳も遠くなってしまったようです。誰しも年齢とともに、自分の健康に対する不安を抱くのは当たり前ですが、それでもいろいろ考えてしまいます。

全盲ろうという光も音もない世界は、想像を絶するものです。9歳で失明し、18歳で聴覚を失ったときの猛烈な孤独感と、指点字によって他者とのコミュニケーションを得たときのよろこびがユーモアたっぷりの文章で綴られています。盲ろう者の多くが読書家なのは、一人での外出ができず、テレビもラジオも電話も楽しめないという過酷な現実があるのだといいます。でも読書が楽しみであることはたしかで、著者が大ファンであるSF作家小松左京氏との交流記は爆笑物でした。

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渡辺荘の宇宙人 指点字で交信する日々
福島智 素朴社 1995年

同様の本をもう一冊見つけましたが、収録されている内容は半分以上同じです。上記の本で割愛されている文章がかえって面白かったようです。盲ろう者国際会議での異言語でのやりとりや、NHKの(ちょっとヤラセっぽい)番組作りなど・・。