大正ロマンの時代を生きた義賊たちは、粋でいなせでひたすらかっこよかった。その話を「闇がたり」で語る松蔵老人はすこし嫌味なんだけれども、説教盗の寅兄いのお仕込みとあっては、いたしかたないでしょう。松蔵少年の生い立ちも吉原での姉との再会と別れも、浅田さんの巧みな語り口で泣きを誘うのですが・・。「巧みな語り口」がともすると鼻につくかつかないかぎりぎりのところで・・、でも臭いけれど美味しい物ってありますよね。
今回は泣けませんでしたが、目細の安吉一家の面々はとっても魅力的なキャラです。松蔵の成長物語でもあるし、震災後はどんな展開になるのか興味深くもあります。闊達な江戸弁を耳から聞いてみたいと思いましたが、すでにドラマや舞台にもなっているそうです。
不用本を貰い受けて長らく積読していたのですが、病院での不安な八時間待ちの間に、三冊を読みきってしまいました。第四巻昭和編もあるらしいのでまた今度。