壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

天切り松闇がたり 浅田次郎

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天切り松闇がたり 浅田次郎 集英社文庫 2002年
第一巻 闇の花道
第二巻 残侠
第三巻 初湯千両


大正ロマンの時代を生きた義賊たちは、粋でいなせでひたすらかっこよかった。その話を「闇がたり」で語る松蔵老人はすこし嫌味なんだけれども、説教盗の寅兄いのお仕込みとあっては、いたしかたないでしょう。松蔵少年の生い立ちも吉原での姉との再会と別れも、浅田さんの巧みな語り口で泣きを誘うのですが・・。「巧みな語り口」がともすると鼻につくかつかないかぎりぎりのところで・・、でも臭いけれど美味しい物ってありますよね。

今回は泣けませんでしたが、目細の安吉一家の面々はとっても魅力的なキャラです。松蔵の成長物語でもあるし、震災後はどんな展開になるのか興味深くもあります。闊達な江戸弁を耳から聞いてみたいと思いましたが、すでにドラマや舞台にもなっているそうです。

不用本を貰い受けて長らく積読していたのですが、病院での不安な八時間待ちの間に、三冊を読みきってしまいました。第四巻昭和編もあるらしいのでまた今度。