佇む人 リリカル短篇集 筒井康隆
角川文庫 電子書籍
リリカルと銘打っているだけに、筒井毒が薄目な短編が20。奇妙な設定の中で情感があふれる表題作の「佇む人」、「母子像」は、切ないまでの家族愛を描いている。数十年ぶりに読み返してみると、より一層胸に迫る物がある。ショートショートの「きつね」の少年二人の会話が、絵本になりそうなくらい可愛い。その他「走る男」、「横車の大八」、「下の世界」など印象深い作品が多い。どれも何十年も昔に読んだが、だいたい覚えていた。作品のインパクトが強いんだなあ。
来月(11月)に出版される短編集『カーテンコール』は、著者いわく最期の最後の作品集だそうだ。『ジャックポット』も未読だった。読もう。