壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ダンシング・ヴァニティ 筒井康隆

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ダンシング・ヴァニティ 筒井康隆
新潮社 2008年 1400円

筒井康隆の新刊です。もう連載を追いかけることもないし新刊を購入することもしませんが、元ファンとしては図書館でチェックしています。新たな実験小説のようで、どこまで読んだのか、どこから読んでいいのか混乱します。このごろは短期記憶もあやしいので、ページをひっくり返して確かめました。

美術評論家渡真利氏の半生は、人生ゲームのプレイバック。ダンシング・ヴァニティ変奏曲。ひとつの主題からいくつもの変奏曲がつくられるように、何度も繰り返される場面反復のたびに細部が変化して、いくつもの選択肢が増殖していくのです。

次から次へと繰り出される場面は、今までの筒井作品のどれかを思い出して、懐かしくもあるのですが、全体はパワフルで、猥雑で、いつものごとく面白い。怒涛のごとく畳み掛け、最期まで続く迫力。

筒井さん、年をとってますます新しいスタイルを求め続け、次はライトノベルを書くとのことです。そうしたら次の次はケイタイ小説かな?   期待しています。