壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

中央線怪談  吉田悠軌

中央線怪談  吉田悠軌

竹書房怪談文庫  kindle unlimited

中央線階段じゃない中央線怪談。高齢者にとっては駅の階段もこわいけど。

実話系怪談を読んで以来、ホラー小説を電子本屋に薦められている。こちらに引っ越す前は中央線沿線住民だったので、読み放題だし、気になって読み始めた。中央線は人身事故が多いという噂を聞いたことがあるが、東京近郊の鉄道ではどこにでもそんな噂がある。自分が通勤通学に使っている鉄道線が人身事故で運転見合わせになると印象深いので、特に事故が多いような気になるだけだろう。

 

本書も実話系怪談で、怪談研究家が取材・収集したものが33編。都市伝説、土地伝説、御当地怪談、古典的怪談、実際の未解決事件などが混然一体となっている話が、駅ごとに収集されている。駅周辺に土地勘のある所での怪談は面白いが、私がよく知っている地域の怪談が少なくてちょっとがっかり。

印象に残ったのが、「野中の蒸発アパート」で、内覧せずに入居契約した格安アパート。引っ越し当日に初めてドアを開けたら、前の住人の家財道具一式がすべて残っていたという。残置物を業者に引き取ってもらい住み始めたが、怪異やトラブルが次々と起こるという話。怪異よりも悪質な不動産業者が怖いような気がする。幽霊が怖いのか、人が怖いのか、微妙な話も多い。

 

ホラーはそれほど好きではないはずなのに、怖いもの見たさという好奇心が抑えられない。ホラー映画もつい見たくなって一本見たら、電子動画屋がホラー映画ばかり薦めてくる。ホラー映画って数限りなくあるようだ。なぜ人間は怖いものを娯楽と感じるのかなと思っていたら、電子本屋が進めてきたのが『恐怖の哲学-ホラーで人間を読む-』という読み放題の本。何かに見透かされているようで、それが一番怖いな。