壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

遺品 若竹七海

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遺品 若竹七海
角川ホラー文庫 1999年 648円

金沢にある銀鱗荘ホテルには、亡き女優曾根繭子の遺品コレクションが秘蔵されています。繭子の遺品はコレクター大林一郎の繭子に対する異常なまでの執着を物語り、その公開準備を任された学芸員の「わたし」は次々に起きる事件に否応無く巻き込まれました。

若竹さんのホラーは半分あたりまではテンポよく軽快に進行します。ところが、しだいにうっすらと怖くなりクライマックスに驚かされますが・・・・、最後はアチラ側に行ってしまったのね。でもそれもいいかもしれません。この名無しのヒロインには好感が持てて、どちらの世界でもいいから幸せになって欲しいと思いました。

次々と現れる謎と恐怖がこちらの世界の法則で合理的に説明されるのならミステリで、アチラ側の論理で解明されればホラーになるということですね。

この作品は葉崎市シリーズではないけれど、ヒロインは葉崎市美術館の学芸員だったのに美術館の閉鎖によってリサイクルセンターに廻されて辞職したという経緯があります。ということをメモって置かないと忘れそう。