たまたま見た「爆笑問題のニッポンの教養」で面白そうだった「平和構築学」。残念ながら10分くらいしか見られませんでしたが、娘が面白いと教えてくれたのがこの本です。世界の紛争地域にNGOとして、また国連から派遣されて、敵対する武装勢力同士の間に入って兵士を武装解除させ、さらに兵士を文民としてコミュニティー社会に復帰させるまで(通称DDR:Disarmament, Demobilization and Reintegration)を果たすのが、伊勢﨑さんのような紛争屋です。戦争を始めるより、終わらせるほうが困難です。その困難な戦後処理を行うには、高度な専門性と経験が必要とされます。
とにかく面白い本でした。伊勢﨑さんという方は、東チモール暫定政府の県知事を務め、シエラレオネでは、NGOや国連の責任者として、また日本主導で行われたアフガニスタンDDRを指揮するなど、現地でひたすら実務に携わった話は迫力満点です。面白いのは伊勢崎さんの波乱にとんだ日常だけでなく、私が漠然と思い込んでいたこととは、まったく発想の違う世界の眺め方でした。日本のPKOはどうあるべきか、有効な国際援助とはなにか、平和憲法を持つことの意味など、ナルホドと納得することばかり。