壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

老人たちの生活と推理 コリン・ホルト・ソーヤー

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老人たちの生活と推理 コリン・ホルト・ソーヤー
中村有希訳 創元推理文庫 2000年 680円

近頃流行のミステリは、犯人も名探偵も若い人が多くて、出てくる年配者はたいてい殺されていたりしています(単なるヒガミ?)。あまりに若い名探偵たちに時々ついて行けないこともあります。登場人物のほとんどがお年寄りというミステリを読んでみました。舞台は<海の上のカムデン>という名の高級老人ホーム。

老婦人探偵といえば優しいミス・マープルですが、ここのおばあさんたちはもっと好奇心旺盛でちょっと自分勝手。でもなぜか憎めないのは、自分に正直だからかもしれません。見かけもキャラクターも様々だけど、年齢だけは80歳超という四人組みは、マーティネス警部補たち警察の向こうを張って、連続殺人事件を探り始めました。手段は無謀な行動と、とっぴな第六感です。楽しいミステリなんですが、老いてこそにじみ出る感慨もなかなか渋くて、ほろっと切ない結末になっています。

ハンサムなマーティネス警部補さんは、俳優ギルバート・ローランドに似ているというのですが、ギルバート・ローランドって見たことありません。この老人探偵団?はシリーズ物だそうですが、同じ老人ホームで毎回連続殺人が起こるなら、“そして誰もいなくなった”になってしまわないのかちょっと心配。第二作を探しましょう。