ガラパゴス諸島の観光クルーズに向かうバイア・デ・ダーウィン号に乗り合わせるはずだった有名人たちは世界的な経済恐慌とエクアドルの政情不安のため予約をキャンセルし、結局乗員は船長、身重の日本人妻、女教師、結婚詐欺師、盲目の娘、インディオの少女たちだけ。
残りのすべての人類は絶滅し、ガラパゴス諸島に漂着したバイア・デ・ダーウィン号は、新たな人類の出発点としての箱舟となってしまいました。冗談のような偶然によってのみ選ばれた新人類の祖先は、その特異な遺伝子を百万年後の人類に残したらしい。進化が方向性を持って進歩の道を進むものでなく、偶然という要素が強いことは事実だとしても、なんという皮肉でしょうか。
はじめて読むヴォネガットですが、彼は人類の将来とか地球の未来とかに、大きな危惧を抱いているのでしょうね。人類の進化はヴォネガットのいう”巨大脳”の産物なのに、百万年後の新人類は巨大脳を持っていないか、活用していないからしいのですが、でもそのほうが平穏な生活のようです。