壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

グラックの卵

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グラックの卵 ハーヴェイ・ジェイコブズ他
浅倉久志編訳 国書刊行会 2006年 2400円

『未読だけど「懐かしの**」本』一人企画の第二弾は「懐かしのSF」。浅倉久志さんのアンソロジーがドンピシャでした。1940年代から60年代の海外ユーモアSF短編集です。ユーモア、奇想、ナンセンスといろいろな名前で呼ばれるものの中でも、特に「バカSF」が懐かしさのツボです。ニューウエーブ以前の「のほほん」味もいいけれど、NWがかったのも悪くない。

「見よ、かの巨鳥を!」ネルスン・ボンド(★★★)
宇宙の彼方よりやってきた巨鳥によって、太陽系の起源が解き明かされるのか。宇宙の深遠に迫る?バカSF。 百年経っても大丈夫!なオチ

ギャラハー・プラス」ヘンリー・カットナー
酩酊した天才発明家が作った装置は何か?ナルシシストのロボットと一緒にドタバタSF

「スーパーマンはつらい」シオドア・コグスウェル 
念動力で宇宙旅行をする新人類の行く先は?ナンセンスになりきれないSF

「モーニエル・マサウェイの発見」ウィリアム・テン
自称芸術家のダメ絵描きが、未来ではなぜか大芸術家?未来人のオタオタぶりがおかしい。でもタイムパラドックスは心配しなくていいらしい。SFらしくないSF

「ガムドロップ・キング」ウィル・スタントン(★)
星の王(子)様と夢見る少年は、モトちゃんとジョニーウォーカー君みたい?ではなさそうだけど、ちょっとブラックかもしれないファンタジーSF。

「ただいま追跡中」ロン・グーラート
反抗的なロボットのクルーザーに乗っての探偵業。ロボットの変調ぶりが面白い、かる~いドタバタSF

「マスタースンと社員たち」ジョン・スラデック(★★)
ワンマン社長マスタースンと9人の事務社員による企業活動とは何か?事務仕事が自己目的化し、経費節減のみが最終目標か?シュールかマジックかは知らないが迫力あるレアリズムSF。なんとなくヤスタカヵ。

「バーボン湖」ジョン・ノヴォトニイ
あるいはバーボンでいっぱいの湖?バーボンよりアップル・ブランデーの方を一杯戴きたい。古めかしいバカSF。妻たちの書き方が型にはまりすぎ。

「グラックの卵」ハーヴェイ・ジェイコブズ
ヒーコフ博士の遺した、絶滅した鳥の卵を孵化させようとして、いろいろ工夫する「ぼく」。(ハリーは金の卵を孵すのにお風呂に入れていたョ。)最後のオチはいまや古びてしまったSF。

涙でるくらい懐かしい~「懐かしのSF」本でした。